硬水と軟水
各種界面活性剤の具体的な話をする前に、少し水の話をさせてくださ
い。今では、いろいろな種類の天然水がスーパーで販売されています
ので、多くの方がご承知と思いますが、水には硬水と軟水がありま
す。もちろん、ゲンコツで叩いても硬さに違いがあるわけではなく、
水に溶けているカルシウムやマグネシウムなどのミネラルの溶け具合
で分けています。それらが多く溶けている水を硬水、少ないのを軟水
といいます。一般的に日本の水は軟水で、大陸の諸外国は硬水が多い
理由として、日本は国土が狭くて雨が降ったらすぐに川から海に出て
しまい、地中のミネラルを吸収しにくいのに対し、諸外国は大河に
よって十分に溶け込むことができるからです。
WHOではどれぐらいミネラルが溶けていたら硬水と呼ぶのか規定
していますが、ややこしいので、みなさんがスーパーでいろいろな
天然水の成分表示を見て確かめてください。
お茶や出汁取りなどはミネラルが多いと旨みを抽出しにくいので
軟水が有利です。ご飯や煮物、和食は軟水でないとおいしくないそう
です。逆に肉を長時間煮込むようなシチューやポトフなどはミネラル
がアクを吸着してくれる作用があり、野菜も煮崩れせずいいそうで
す。その土地の水と食文化は密接な関係にあるようですね。
次回は、今覚えていただいた硬水、軟水がどのように界面活性剤にか
かわるのかを説明します。