絹糸誕生物語

ブログの名前を、油のことを語るので、「平安のアブラカタブラ」に

変えました。ご興味ない方には呪文に近い文面とも言えますので。(>_<)

先週に引き続き、絹糸のお話をします。絹糸の成分は、私たちの

細胞を構成している同じ成分の「たんぱく質」でできています。

羊毛も体毛ですから「たんぱく質」でできています。私のてっぺんの

体毛はたんぱく質不足になっています。トホホホ(;_:)

そんなことはどうでもいい話で、蚕さんは桑の葉に含まれている

たんぱく質をせっせせっせと蓄えてて糸の素になる液状絹を合成

していきます。小さな生化学プラントとも言えます。

そもそも、当たり前ですが、人間のために繭を作っているわけでは

なく、いちばん無防備な「さなぎ」の間、外敵から身を守るために

営巣するわけです。

ではこの繭から糸が採れることを発見したのは誰か?ここからは

実に眉唾な話ですが、かのエジプト女王クレオパトラが繭玉で

遊んでいたところ、近くにあった湯釜に繭を落としてしまい、それ

をお箸(そんなものはない!)で引き上げたらスルスルーと糸が

ほぐれてきたそうな・・・。

伝承の真偽はともかく、このことを少し科学的に解説をしましょう。

蚕さんのお腹の中には、先週お話した絹糸線が2本あります。そう、

チューペットみたいなのが2本です。この中で糸の素を合成し、

口から延伸・配向しながら1本の糸として吐き出します。2本なのに

1本で出てくるとはおかしいでしょう?。でも、よくできていて、

口に近いところで成分の違う接着力の高いたんぱく質を合成して、

2本の糸を包んでしまうのです。豚の鼻を想像してください。鼻の

穴が2本の絹糸線から出た本体(フィブロインと言います)の部分で

それを接着剤(セリシンと言います)が被覆しているのです。

この接着剤はお湯に溶ける性質があり、少し煮沸してやると、

硬く引っ付いていた糸同士がほぐれて、糸切れせずにスルスルーっと

繰りとることができます。科学的に話すとこうなりますが、夢が

ないでしょう。誰にも迷惑はかかりませんので、クレオパトラ説で

憶えておいてください。

今日はこれまでにします。