繭の不思議
昨日のクイズの答えは・・・、蚕種にもよるのですが、およそ
1000m〜1500mです。あんな小さな虫がすごいでしょう?
もうひとつ驚きなのは、最初から最後まで繋がっているという
こと!つまり、一度糸を吐きだしたら数日間、ずっと吐き続ける
ということです。私は翌日午前中なら、吐き続けたことは何度も
ありますが・・・(>o<) 失礼しました。
釣りをされるみなさんも多いと思いますが、現在はナイロンや
ポリエチレンテグスがほとんどですよね。テグス、漢字では
「天蚕糸」と書きます。はい、その通り。昔は蚕さんの糸で
魚釣りをしていたんです。何かすぐに切れそうな気がしませんか?
いえいえ、とても丈夫なんです。でも繭からテグスはできないの
です。蚕さんから作ると言っておきながら、繭ではできないとは?
実は、蚕さんが糸を吐く寸前に解剖して、(えげつないでしょ)
中にある糸の素がいっぱいに入ったチューブ(絹糸線といいます。
凍らす前のチューペットみたいなものを想像してください)
を取り出し、お酢に漬けてから思い切り両手で伸ばします。
これでテグスの完成!大物の鮒や鯉がかかっても切れません。
思い切り引っ張ることで、糸の素が一定方向に並ぶことにより
強くなるのです。これを延伸・配向といいます。
短い繊維を紡いで作る紡糸に対して、元から長い糸を作ることを
製糸や繰糸と言います。蚕さんは繭を作る時、ゆっくりですが
糸を延伸・配向しながら製糸しているのです。
ナイロンやポリエステルの製糸もこの蚕さんの繭作りを分析して
作られているのです。この延伸配向がなかったら、ぶつぶつ切れる
糸しかできません。
私がお世話になった大学の先生が「蚕の口が合成できたら間違い
なくノーベル賞」と言っておられました。自然の驚異です。
来週は何をお話しましょう。