手作り石鹸にはご用心を・・・
石鹸の成分の説明をしましたので、お役立ち情報としてお話させて
いただきます。
前回、古くなった揚げ油から石鹸を作るサークルがあると話ました
ね。揚げ油は菜種、大豆、ひまわり、紅花、ゴマなどの単品又は
ブレンド品でたくさんの脂肪酸が含まれています。風味が悪くなった
揚げ油を石鹸にするとき、必要なものが水酸化ナトリウム:NaOHで
す。この物質はアルカリ性物質の中で最も強いpH(ピーエッチ、又は
ペーハー)を示す強アルカリです。誤ってこの溶液に触れてそのまま
にしておくと、じわじわとたんぱく質を溶かし、やけどのようにただ
れてしまいます。大変危険な薬剤なのです。
一方、油の脂肪酸というものは酸の仲間でも非常に穏やかな弱酸で
す。中学校の時に習った「酸とアルカリの中和反応」と「モル」とい
う単位を思い出してください。
石鹸を作る反応を科学的に表現したら、次のようになります。
この「モル」をざっくりと説明すれば「同じ分子の数」と置き換え
ることができます。つまり、脂肪酸が100分子あるなら、水酸化ナト
リウムも100分子必要です、ということです。
なんだかややこしくなってきましたね。まとめますね。石鹸を作って
いるメーカーは化学分析をして何グラムと何グラムで等モルになる
かを測定して、反応をします。ですから、脂肪酸も水酸化ナトリウム
も完全に消費され「脂肪酸ナトリウム=石鹸」になっています。
ところが、ご家庭やサークルで石鹸を作る際、元々古くなった揚げ油
の正確なモル数が分からないわけですから、当然水酸化ナトリウムの
必要量も正確にわからないわけです。
先ほど、触れましたように水酸化ナトリウムは強アルカリで皮膚を
侵しますので、例えばアルカリ過剰の石鹸を作ってしまった場合、
過度の洗浄で皮膚を傷めてしまうことになるのです。
もちろん、pHを試験紙で測定しながら慎重に反応を進めれば、ほぼ
目的どおりの中和反応を達成することができますが、あまりお勧めは
いたしません。
揚げ湯は植物由来の天然品ですので、燃やしても温暖化で問題になっている
二酸化炭素を増やすことにはなりませんので、私は新聞紙に
吸わせてゴミに出しています。