世界の工場・中国の繊維産業

 先日の中国出張でのこと。ある企業の総経理が「中国の繊維産業の

際競争力は無くなりつつあります」と切り出しました。何故か?

答えは簡単、人件費の高騰です。

 繊維産業、特に絹製糸業はとても人手がいる産業で、かつて日本も

労賃が安いとき世界1位の生糸生産国家でした。この但馬地域も養蚕

が盛んで、以前にもお話したように八鹿高校の前身は養蚕技術養成学

校でした。日本全国で生糸製糸を行い、外貨を稼ぎ近代国家の礎を作

ってきたのです。その最たる企業が「カネボウ」です。日本一の会社

でしたが、ご承知のように無残な結果となり、日本の繊維産業の衰退

の象徴となってしまいました。

 中国も同じようなことがおこっています。改革開放政策で沿岸部の

産業集中地帯に内陸部より職を求めて労働者がやってきて、安い給料

で国家発展に寄与してきました。ある会社の染色作業員さん、4-5年

前、600-800元/月のサラリーでしたが、現在2500元!1元=12−14円

ぐらいですから日本に比べたらまだ安いですが、物価が違います。

さらにこれだけ払っても、お正月(旧正月)で内陸部の田舎に帰省し

てたら、かなりの高確率で帰ってこないらしいです。と言うのも、内

陸部の経済発展が進み、建設関係の仕事が山ほどあり、両親の元で高

収入がゲットできるという仕組みです。「辞めます」も何もないそう

です。とにかく帰ってこない(>_<) ここに中国の凄さを感じます。

 そういう訳で、冒頭の総経理の呟きに至るわけです。労賃の安いベ

トナムにシフトしてきています。そしてベトナムがお金持ちになった

らインドへ、インドが・・・。繊維産業は発展途上国で開花する産業

で、最後はアフリカでしょうか?どこでも出張して技術者魂を持ち続

けたいですですねぇ。そのうちこのブログに「草原を走るライオン

なんて写真がアップされたりして・・・。