毛玉ができるわけ

前回は人類最初の繊維のお話をしました。今日は、羊毛・ウールの

不思議についておしゃべりします。

言うまでもなく秋冬衣料の王様ですよね。ヒツジさんが自身を寒さ

から守るために生やした体毛を、バリカンでものの数分で刈り取って

しまう光景をテレビで見たことがあります。そして、「案外、ヒツジ

って細いんや!着膨れするタイプやね」としょうもないことを思った

り・・・。

さて本題。冬のセーターが暖かいのは、ウールが空気層をたっぷり

含んだ繊維だからということは、ほとんどのみなさんがご存知のこと

と思います。では、何故着ているうちに「毛玉:ピリング」が出来るのか?

何故、中性洗剤で手洗いしなければならないのか?

写真はウールの微細構造です。何かに似てませんか?そうです、

人間の髪の毛とほぼ同じ構造です。中心部のことはさておき、外側

のうろこ状のものを「キューティクル」といいます。キューティクル

保護シャンプーなんかでよくご存知と思います。

このうろこ構造で、内部の水分調節をします。ウールの重量の15%

ほどが水分です。湿度が高くなると開いて水分を逃がし、乾燥して

くると、閉じて水分を保持します。人間の髪の毛も同じことで、

髪がパサツクのはキューティクルが傷んで水分保持ができない状態

なのです。

ただし、いいことずくめではありません。このうろこ構造が毛玉の

原因です。セーターを着用する際、じっとしていることは無理です

ので、自然に繊維同士が摩擦を起こします。そのとき、このうろこ

が絡み合って毛玉の素ができてしまうのです。そして、洗濯。

先ほど、湿度が上るとキューティクルが開くとお話しました。

まさに、洗濯中は開きっぱなし・・・。この時、強い機械力で洗濯

したら、毛玉の素が大発生します。乾燥後、また着用して中毛玉に

なります。その繰り返しで大毛玉に発展!

これが、中性洗剤で手洗いしなければならない理由です。

最近の高度な加工により、このキューティクルを原糸段階で削り取

ったり、引っ掛からないようにコーティングする技術が開発されまし

た。毛でも玉はできにくくなるのですが、風合いの劣化などがある

そうです。

長くなりましたので、続きは来週に・・・と言いたいところですが、

来週は中国出張ですので、お休みします。

もし、時間がとれたら携帯からの書き込みに挑戦してみます。